伊福部昭 公式ホームページ

(暫定版)
「二つの性格舞曲」における“特殊奏法”
山田茂俊
 

 1961年12月27日の改訂版の楽譜の最初に注釈のための‘NOTA’があり、「第二性格舞曲」内で使用する“特殊奏法”について英文で次のような説明があります。
 
NOTA.
The signe (  ) in the violin part means the left hand’s pizzicato, laying the bow stick – wooden part, not hair – slightly on the string simultaneously.
The effect is somewhat similar to the snare of drum.
( This is a traditional technique among our stringed instrument.)
 
{訳}弓の木の部分(毛でなく)を軽く絃の上に置くのと同時に左手でピッチカートする。これはスネアドラムのような効果がある。(これは我国の弦楽器属の中にもある伝統的な奏法である。)
 
 
 弓の木の部分を弦の上に横たえてピッチカートする事で、弓の木が弦と一緒に振動します。効果的な弓の振動を得るために、弓の木を横たえる位置とピッチカートをする左指の位置が重要になるわけですが、それについての特別な指示はありませんでした。
 
参考までに
1956年10月1日に初演された1955年のオリジナル版にも、やはり英文で次のような‘Nota’がありましたが、ここでは弓の木の部分を置く位置が示されています。
 
Nota
The sign <  >in the violin part means to lay the stick - wood part, not hair - of  violin bow slightly on the string. Near the *end of finger board, and pluck the string with the finger of left hand.  (* デザインのノートでは、この4文字は二重線で消されbridge になっています。)
The effect is some what similar to the snared –drums and, this is a traditional technique in our stringed instruments.
 
 こうした事を照らし合わせ、最終的には弓の木を横たえる位置を駒と指板の最端部分の間にとり、ピッチカートをする左手は楽器の胴体に軽く触る(第3と第4ポジションの間位)場所に置き、薬指(第3指)を使い絃をはじきました(写真)。
 

 
 この特殊奏法によって得られるスネアドラムのような音の効果はこの曲の性格を大変面白いものにしていると思います。